演出:天野マリ×脚本:Chani 鼎談 後篇
演出の天野マリさんと脚本のChaniさんに、今回の舞台『CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver』について、お話して頂きました。
舞台本編の内容や結末に触れておりますので、舞台をご覧になった方用の鼎談となっております。
キャラクターや解釈については「舞台版は」ということでお読みください。
<各ENDのメインキャラについて>
――大島さんと北村さんのお二人について。
天野
大島さんはとても真っ直ぐで寅という役にハマっていると思います。
すごくハマっていて、だけど、本来寅は双子のお兄ちゃんでしょ、その大島くんは一人っ子だから、そのお兄ちゃんってキャラが理解しづらいのかなって?
彼がまだ大人になれていないのかな、弟キャラみたいなところがあって、そこが彼の良さであり、甘さであるから、そこをもっと大人になってもらうことで、役者としての成長もみたいかなって思っています。
今回、彼がこのENDを通じて、少し自分の引き出しを広げて、キャラをちゃんと想像してくれたら、私としては凄い嬉しいなと思います。
そういう成長を見守りたいなと思います。
健人くんは2回ビショップを生きてきて、3回目なので、今までと違うものしたいと思っていて、迷走もしたんだけど、修整をして、今までよりも役者としての成長と共にビショップも成長をしているような何か、エッセンスを加えたようなビショップになることを期待しています。
Chani
大島さんはもう反逆者で、北村さんはビショプにしか見えないというのはおかしいですけど、もうなってらっしゃるだろうなと思います。
何してもそうなんだろうなって、舞台上に立っている時もなってらっしゃると思います。
――脚本を書かれる時はゲームのキャラですか?キャストですか?本読みの時に反逆者ENDとビショップENDでは雰囲気が全く違ったと思うんですけど、どうですか?
Chani
それは私の頭の中がおかしいところなんですけど、イメージがウィッグも衣裳も付けた役者さんなんですけど、声は曖昧なんですよ、でも、イメージします。
私は1回キャラで書くんです。そして、2回目にイメージするんです、役者さんの顔とか。
――本読みの時は想定している通りですか?
Chani
演技はわからないんですけど、イメージは私の頭のなかにあるのでそれが動いて脚本になります。本読みのときはみなさんが演じられていることがもう嬉しくて、一公演ずつイメージが積み重なっていく感じですね。
――次の脚本を書く時に想像しやすくなるってことですね。
Chani
そうですね、さらにイメージしやすくなります。
――ビショップENDに新曲を入れた理由というのはありますか?
Chani
反逆者ENDには「衝撃」を、ビショップENDには「希望」を入れたかったんです。
――『CZ』の演出をする時は他のミュージカルとちょっと違う感じですか?
天野
基本は私はキャスティングが決まった瞬間から、その役のスペシャリストはそのキャスティングされた人たちだと思っています。
妄想によって考えられることって、天野マリだったこうするってなっちゃうんですよね。
それって面白くないから、みんながその役をどういう風に捉えて、どういう風に動きたいの?っていうのを見せて欲しいって思っています。
でも、時々勘違いしている子には違うだろっていうのはあるけど、基本はその子がしたい事を活かすにはどうしたらいいんだろうっていう発想をどこの現場でもやっていますね。
――まずはご自分のプランがありつつも、キャストと一緒に画を描き出すんですか?
天野
寧ろ、画は考えていなくて、舞台上に存在しなければならない最低条件を揃えて、その中でどうしたらよりドラマチックになるだろうっていう発想を第一にしています。あとは空気を動かしたいのね。空気があんまり動かない舞台って心に響かないので、空気を動かせるようにセリフや動きに注意してシーンを作っています。
――CLOCK ZEROを作る時に一番大事にしていることは?
天野
世界観ですね。
やっぱり、CLOCK ZEROを愛している皆さんが描いている世界観とこれは則しているのだろうかとか、その人たちをガッカリさせないという事が一番ですね。
ゲーム画面の動かない画に対して想像するわけじゃないですか、それぞれの想像の中で違うかもしれないけど、大多数の人たちが納得してもらえるような動きなり、画が出来たら良いなと思います。
――今回のラブシーンではキャストは戸惑いませんでしたか?
天野
最初に形として作ってあげて、気持ちからというよりは形から作ってあげれば、大丈夫だよって、まずは形を作るところは相談してって感じですね。顔を真っ赤にするキャストもいるので、その場合はコソ練ですね。
――新キャストについていかがですか?まずは石賀さんについて。
Chani
キングだと思いました。
――初日の本読みで、ビショップとのシーンで神賀先生からキングにナチュラルに変わった瞬間にハッとしました。
天野
石賀くんは本当に役に対して真摯で、キングになった時に声のトーンを落とすんですよね。彼は歌を歌ってきた子なので、声の幅があるんですよね。神賀先生からキングになった時の声の使い方があざとくなく使える。
それがすごくいいです。
――平野さんは如何ですか?
Chani
彼もルークだなと思いました。
天野
これまでのチャーミングな感じと打って変わって、裏ボス感がすごく出ると思いました。
――葵さんは如何ですか?
Chani
放浪者です。
天野
まだいろいろ模索している感じがすごくいい。
――早川さんについては?
天野
子役の中に入ってて、どういう訳か一番子供に見える。(笑)
だけど、やっぱり大人なので、子役たちを引っ張っていってくれています。頼りにしていますね。ゲームもやり込んでくれているし、期待しています。
Chani
もうびっくりして、年齢を聞いた時に一番びっくりしました。大人ですよ。(笑)
――最後にもう一度「撫子」について聞かせてください。毎回相手が変わるので演技しづらいなと思うんですけど、聞かせて頂ければなと思います。
天野
いつも感心する。
どの相手でもスッと順応して、有彩もスッと撫子になるから凄いと思います。
世界観を壊さずに出来るのは有彩くらいだと思うので、安心して任せられます。
Chni
いつも鬼畜な台本を書いていると思います。
でもそれをやってくれる信頼感があります。
――では、最後に劇場に来られるファンの皆様にひとこと
天野
美術もシンプルに想像力が広がるようなものを作りました。殺陣やダンスも一新して迫力が増したと思います。
新キャストは新しい風を吹き込んで、続投キャストは気負いなくリラックスして臨んでいるので、お客様もリラックスしてお越しください。
Chani
楽しんで頂けたら、すごく嬉しいです。
――ありがとうございました。